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ロックウールとアスベストは似て非なるもの?違いについて詳しく解説
2023.04.10
法改正により、アスベストが使用されている建物を解体する場合には事前調査などの義務化項目が増えました。
違反すると罰則も科されるため、使用されている可能性がある建物の取り扱いがさらに慎重になっています。
慎重になると気になるのが、アスベストと同じようなものや、名称違いのものなどがあるかもしれないという心配です。
アスベストに似たものでロックウールが思い浮かぶ方も多いですが、これらは同じものなのでしょうか?
それぞれの特徴と違い、ロックウールはアスベストに含まれるのかを詳しく説明します。
ロックウールはどのようなもの
ロックウールとアスベストは用途が同じであるため、発がん性があるものと思われてしまいますが、まったく別の物質です。
ロックウールは火や湿気、騒音に強く、断熱材や吸音材として使用されます。
一般的には、壁や天井などの重点断熱工法に用いられることが多いです。
発がん性ゼロとはいえませんが、アスベストに比べ有害度は低いです。
アスベストはどのようなもの
アスベストは既に使用禁止となっています。
別名「石綿(いしわた)」などとも呼ばれる物質です。
かつて使用されていたアスベストの除去を行う場合には、適切な処理が必要になっています。
天然の繊維状けい酸塩鉱物であるこの物質は繊維が極めて細いため、飛散すると吸い込みやすく排出もしにくく人体に影響があります。
吸い込んでしまうとじん肺、肺がん、悪性中皮腫などの病気を引き起こす可能性が高いです。
ロックウールとアスベスト|比較
ロックウールとアスベストはどのような違いがあるのでしょうか?それぞれの特徴を「見た目」「発がん性」「そのほか」に分け解説します。
1.見た目
ロックウールとアスベストの見た目は似ているといわれます。
ロックウール | アスベスト | |
見た目 | ・繊維状の人造鉱物繊維
・繊維の直径は3~10㎛ |
・天然の鉱物繊維
・繊維の直径は0.02~0.35㎛ |
判断方法(指触) | 指でこすると粉々に砕ける | 指でこすると砕けない |
判断方法(酸による見分け方) | 酢酸(お酢でも可)に浸すと溶ける
(完全に溶けるわけではない) |
酢酸(お酢でも可)に浸しても溶けない |
見た目での判断は素人では難しいですが、指触や酸による見分け方で判断が可能です。
判断方法を試す際には、飛散したものを吸い込まないように注意しましょう。
2.発がん性
アスベストはじん肺・肺がん・悪性中皮腫などの病気を引き起こす可能性が高い物質です。
吸い込んでしまったからすぐに発症するわけではありませんが、発がん性はとても高いので注意が必要です。
ロックウールはアスベストほどの発がん性はありません。
IARC(国際がん研究機関)による発がん性区分によると、「グループ3:発がん性に分類しない」とされており、日本ではロックウールを取り扱った方から肺がんの発生報告はないようです。
3.そのほか特徴
ロックウールはアスベストよりも断熱性に優れています。
しかし、湿度に弱く値段が高いのが問題とされています。
高湿度の環境ではアスベストやロックウールと同じように使用できる、グラスウールを使用する場合が多いです。
ロックウールはアスベストの代替品というのは本当?
アスベストの使用が禁止されたため、ロックウールはグラスウールと共に、代替品として利用されるようになりました。
現在も新築の建物の建材として利用されています。
しかし、アスベストのように繊維が細いわけではないので、完全な代用品とはいえないようです。
ロックウールとアスベストは処理法が異なります。
廃棄物として処理する場合は法律に基づき「ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず」または「がれき類」として適切な処理を行いましょう。
アスベストの除去作業で気をつけること
現在は使用されていないアスベストですが、解体する建物に使用されている可能性があるため、事前の調査が必要です。
使用されている場合は法律を遵守し、適切な方法で処理を行いましょう。
1.発がん性
2.処理方法
3.法律遵守
調査・処理を行う場合、通常の解体費用に除去費用が追加されます。
国や自治体では処理に関する助成金制度があるので、自治体などのホームページをチェックして申請してください。
ロックウールの使用で気をつけること
ロックウールは優れた断熱性を持ち、吸音性もあり、建物に利用されています。
しかし、使用する場合には以下の点に注意が必要です。
1.重量が重いので脱落しやすい
2.価格が高くなる
脱落とは壁の下にロックウールがたまりやすいことを指し、脱落させないためには高い技術で施工を行わなければいけません。
脱落してしまうと断熱効果が落ちるので、使用する場合には脱落させないようにしましょう。
そして、ロックウールを使用する際に気になるのが価格です。
ロックウールはほかの物質よりも高価格なため、コストがかかります。
ロックウールとグラスウールは性能面で差があります。
性能を重視する場合には、ロックウールの使用を検討してください。
まとめ
ロックウールとアスベストの違いや特徴、扱い方などについて解説しました。
ロックウールとアスベストは同じように思われがちですが、代替品であるロックウールは発がん性が非常に低く、現在も使用されている建材です。
アスベストに比べて割高ですので、費用面で問題となる場合があります。
しかし断熱性が優れているので、ロックウールを使用する場合には使用する箇所をよく吟味するとよいでしょう。
アスベストは現在使用できず、除去方法も特別な方法が必要です。
建物を解体する際には専門業者へ依頼しましょう。